立崎 流伽の場合。

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高校一年の春。 入学してすぐ。4月から6月生まれの生徒が数人呼ばれた。 恋人がいたり、親が決めた相手が居たり、スポーツ特待生の人は保護者の申請があれば免除されている。 既にクラスの八人に一人は結婚しているか婚約中。 私のクラスから呼ばれたのは、私と一河と水咲の三人だった。 長い廊下を歩きながら、職員室の隣の会議室へと向かう。 「やばい。緊張してきた。一河、車椅子、押してもいい?」 「あー、助かるかも。俺も緊張しててうまく運転できない」 「……二人は別に緊張しなくてもいいじゃない」 親友の水咲は、大きな眼鏡を人差し指で上げながら、空を見上げる。 「二人は、相手から指名されてるんだから。その点、私は本当に国が相性だけで判断した相手なの。今、決めておかないと大学受験までに落ち着きたい私にはこれが最初で最後のチャンスだし」
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