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今、私は一切お尻の話はしていなかった。
「あの、本当に彼は何も。ただお尻が見えているだけで悪い人じゃないです」
「そうだ。プリティーなお尻に謝れ!」
「一慶さん、少し静かに。仲人さん、彼を離してください」
床に押し付けられているのに一慶さんがふざけるので、一向に開放してくれなくて焦った。
ようやく解放されても仲人さんはまだ疑い深く彼を睨みつけていた。
「あのう……一慶さんの裸を見すぎだと思います」
「そうよ! 変態よ!」
「一慶さんは早く服を着てきて!」
追い払うと、ドアを開けたまま着換えだした。
「立崎さま。手荒い行為、大変失礼いたしました」
「私じゃなくて、彼に謝ってください。私は本当に平気だし、私の夢のせいだし」
「花巻さまには、力づくでも、乱暴でもいいので、立崎さまの身の安全を一番に、と言われています」
さっきまで、熊みたいで怖いなって思っていたのに。
仲人さんはかしこまって、深々と頭を下げてきた。
この人も仕事なのに、私ってば悪い人みたいに叫んでしまった。
「こちらこそ、駆け付けてくださりありがとうございました。本当に大丈夫ですので、お仕事に戻ってください」
「これがお仕事ですよ」
仲人さんは少しはにかんで笑ったのだった。
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