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「これが、一河がモテる所以だよね」
「そうそう。ああ、私、孔一くんじゃなくて一河がお見合い相手だったら好きになれたのに」
水咲がきゅんきゅんした胸を押さえ、その後悲し気に笑う。
「最初からお見合いに夢なんて見てないから、私だけ恋愛結婚憧憬症候群にならず、相手はこんな政略結婚の中、夢なんて見ちゃって……お見合いなんて廃止すればいいのに」
「水咲……っ」
水咲の祖父が首相の時に決まった法令で、まだ100年も経っていない。
人口が再び一億以上に達すれば、この法令もなくなるのかもしれない。
政治の勉強は、漫画を読むのに忙しい私には難しい。
反対派だの野党だの、何もしないくせに人口激減について野次を飛ばすだけの大人だの。
その中での水咲と孔一くんの政略結婚は意味のあるものらしい。
水咲の気持ち以上に意味のあるものなんて、私はないと思うけど。
「水咲が犠牲になるぐらいなら、こんなお見合いの法律、潰れてしまえばいいのよ」
「おお、流伽ちゃん、良いこと言うじゃん。そうだよ、そうだよ」
一河も楽しそうに拳を振り回した。
「やっぱこの法律、ふざけすぎだろ」
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