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おっとりしてて人の悪口なんて言わない一河から漏れた本音に、私も水咲も笑った。
六人兄弟で、この法律のおかげで裕福なのに、それでも不満を隠さず言ってくれる一河はすごい。
「この中で、法律の中、一番自由にのびのび好きな人にプロポーズできてお赤飯を仲人さんに用意させちゃうぐらい平和な人は、一慶さんだけだね」
「水咲、酷い。それに一慶さんは、ほんと素でそれなの。悪気もないし、素が熱血なの」
「フォローになってないよ」
二人は、私の話で癒されているらしい。
私だって一応、色々と悩んでいるのに。
「そういえば、特進科の森苺先輩って人と今週末に一慶さんの試合を見に行くんだけど、二人も来てくれない?」
「えええ、試合って殴り合ったりパイプ椅子で頭割ったりするんでしょ? 痛いの無理っ」
「先入観がすごいよ。最近のプロレスはパフォーマンスが面白かったりするんだよ。でも一慶さんの試合なら人気なんじゃないの?」
一河は少しだけ興味を持ってくれたらしい。
漫画とお弁当しか入っていなかったカバンから、私はチケットを取り出した。
「ふふふふふ。関係者席、四人分確保してもらっちゃった。仲人さんが入り口で待機してるんだって」
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