二、俺の話を、俺の話を、俺の話を聞けええええい(イエイ

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「そういえばお仕事だったのに、カバンとか持ってないの?」 「着替えが入ってたから、一階のカウンターでカバンごと取られた。俺さあ、ベランダに干してある洗濯物の匂いとか好きなんだけど、ここでは見られないな」  はあ、と寂しげに居ながら頬袋から本を出してきたので飛び上がってしまう。 「頬袋!」 「え? なに? え?」 「今、頬袋から本を出しませんでした?」 「頬袋じゃないけど、カバンがなかったから背中とお腹にいれてた本は出したよ」 なんでお腹に本を隠し持ってるの? 「流伽が昨日、怖い夢を見ただろ。だから怖い夢を見ない、リラックスした睡眠方法って本と、寝る前の簡単ストレッチって本を買ってきた。まずは枕の方向と、アロマを部屋にまき散らし、リラックス効果のある森のせせらぎのBGMと」 「まって。情報量が多い。情報量多い」  朝、お赤飯を用意したくせに一応は怖い夢を見ない方法を彼なりに考えようとしてくれたらしい。
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