190人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう。オーバーなんだから」
「まじで、かなり、けっこう死んでる」
「じゃあ、ごはん、片づけておきますね」
温めたスープを手に持って立ち上がろうとしたら、いきなりダッシュして私の手にぶら下がった。
「それだけは! それだけはお許しをっ」
「じゃあ、さっさと食べましょう」
「おっす」
いつまでも一慶さんの茶番に付き合っていたら、ご飯も食べれない。
私には、カレーの海に顔を埋めているハムスターにしか見えないけど、本当の一慶さんは美味しそうに食べてくれているのかな。
味付けが駄目でも、美味しくなくても、一慶さんは喜んで食べてくれそうで、少し不安だ。
「そうだ。サインは特別にいいそうだ。でも本当は試合に来てくれた人以外駄目なんだ。だから内緒にしといて」
「ありがとうございます。じゃあ森苺要さんへって。あ、あと三枚はどうだろ」
首を傾げていたら、彼はぶはっとカレーを吐き出した。
「どうしたの?」
最初のコメントを投稿しよう!