二、俺の話を、俺の話を、俺の話を聞けええええい(イエイ

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「俺、あの家を出るとき、そのエプロンぐらいしか持って出れなくて、全部忘れて前を向いて歩かなきゃいけなくなって。でも助けてくれた流伽だけは忘れたくなかったから、――その」 言いにくそうにスープから顔をあげ、頬袋の中からスープを押し出している。 その姿は、犬のチャウチャウみたい。 「その?」 「女性ファンには、きっと態度が悪かったんじゃないかなって申し訳なくなる」 「ああ、一慶さんて律儀そう」 「でも! 流伽が好きだし! 流伽がいいし! 流伽以外見れるほど心も広くなかったんだよ!」  声も大きい。目の前にいる私にそんな大きな声でアピールしなくてもいいのに。 「じゃあ、試合中の一慶さんに惚れてしまった女性は、まったく一慶さんに振り向いてもらえなかったと」 「ああ。でも例え、俺が百人いても百人とも流伽を選ぶし」 百人の一慶さんを相手にしたら、私は一日で過労死しそうだけど。 「そこまで一慶さんが悩まなくていいですよ。女性ファンは、試合中の雄姿さえみれたら、きっと満足ですよ」 「そうかな。でも受け入れられない分、試合で返していこうとは思うよ」 トボトボとテーブルの上を歩いていくので、首を傾げる。 「どうしたの?」 「スープ、おかわりしようと」 「それぐらい、私がしますから。座っててください」 もう飲む終わっていたことも驚いたが、言えば私が継いだのに。 「る、流伽ああああああ! 好きだ!!!! 君のお味噌汁が毎日飲みたい!」 「これ、コンソメスープでっす」 このテンションにもはやく慣れてしまいたいものだ。
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