白い少女

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「……圭一くん、二手に分かれようか」 「そうですね。この広さですし、俺は左の方から見ていきます」 「じゃあ僕は右だな。お互い、誘惑に負けないようにしよう。余計な物を買ったら由香が怖い」 「怒ると話が長くなるから気を付けないとなぁ……」  圭一くんと分かれて会場内を歩く。ブースを見るとアクセサリーや女性物の古着が多い。やはりフリーマーケットは女性の参加者が多数を占めている。ここに来たのが好美だったらあれもこれもと買っていたに違いない。  商品を眺めながら歩いていたら、いつの間にか一番奥まで来てしまった。ここまでそれらしい人は見かけなかった。そもそも、今回のフリーマーケットに参加しているかわからないし、前と同じ服装である可能性も低い。  ああ、どうしてちゃんと考えなかったのか。人を探すなら最低でも一ヶ月は滞在して、東京で開催されるフリーマーケットすべてに顔を出すべきだ。 「こんにちは」  右往左往していると、急に真後ろから話しかけられて、心臓が跳ねる。声がした方を振り向くと、メモと同じ特徴の少女が座っていた。 「お兄さんお暇? こちらの商品はいかが?」  少女が勧めてきたのは桐箪笥。汚れはほとんどなく、新品そのものだ。 「いや、僕の家にはもう箪笥があるから大丈夫だよ。……それより、聞きたいことがあるんだけど、ちょっとだけ時間良いかな?」 「どうぞ」  屈んで少女に目線を合わせようとするが、大きなピクチャーハットのせいでよく見えない。分かるのは真っ赤な唇だけだ。  僕は確信した。彼女こそが由香にガラガラをあげた張本人だと。他に該当する人物はいなかったし、メモの特徴と合致している。
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