白い少女

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「僕の知り合いがあなたからガラガラを貰ったって聞いたんだけど、それはどこから入手したのか知りたくて……あ、人違いだったらごめん」 「由香さんにガラガラをあげたのは私よ。あれは、ヨレヨレの服を着たみすぼらしい人に押し付けられた物なの」 「そうなんだ。ええと、深い意味はないんだけど、ガラガラを押し付けられた後は大丈夫だった? 普段と変わったこととかなかったかな」 「何も」 「そうか、それなら良いんだ」 「質問は終わり?」 「うん、変なこと聞いてごめんね。ありがとう」  少女への質問を終えて、商売の邪魔にならないよう脇に避ける。何か買った方が良いだろうか。聞くだけ聞いて「はい、さよなら」じゃあ申し訳ない。 「あ、何か買うよ」 「もうあなたに売れる物はないわ」  そっけない返事だが、理由はすぐに分かった。彼女のブースには桐箪笥しかない。桐箪笥の購入を断った僕に売れる商品はない。 「ええと……じゃあ、また東京まで来た時に買うよ」 「…………」  お客じゃないと判断したからか、少女の態度は冷たい。話しかけても無反応になってしまった。  最近の女の子はどうにも扱いにくい。大人の男性に話しかけられたからかもしれないが、ここまで無愛想だとどう対応したら良いか分からない。自分の子供も彼女みたいな感じになるのだろうか。なんだか不安になってきた。  気まずい空気から逃げるように視線を会場内へと向ける。どこかに圭一くんがいないかな。 「あ」  たくさんの人の中から彼だけを見つけるのは無理だと思ったが、こちらへ向かってくる圭一くんの姿が見えた。人が多い中、懸命に前へと進もうとしているが、思うように動けなくて焦っているようだ。 「ぶつからないように歩くの大変でした」 「ほとんど隙間がないからなぁ」  ようやく僕の元に辿り着いた圭一くんは、一日分の体力を使い果たしたように項垂れる。まだ午後にもなっていないのに、この先の調査は大丈夫なのだろうか。
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