夢実現した…でも ~美優 1~

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夢実現した…でも ~美優 1~

中高一貫校時代、ずっと和真くんがわたしの側にいた。 だから、和真くんと和真くんの友達と、和真くんの友達の彼女さんと一緒にいたわたし。 和真くんがアメリカの大学に進学を決めたから、わたしは地元に残るのが辛くて、わたしも夢実現のため、京都のK大の文学部の心理学専攻を目指した。 そして、無事に合格切符をもぎとり、東京から京都へ、進学で引越したわたし。 アメリカの大学は9月からスタートするため、約5ヶ月間だけ、京都で和真くんと暮らした。 1度別れる決めたけど、和真くんが好きだから、アメリカに行くまでは恋人同士でいたかった。 別れると決めてても、京都のわたしのアパートで、初めて関係を結び、毎日、身体を求め合った。 傷を深めるだけの行為だったかもしれない。 【お互い、夢を実現したら、また逢える】 和真くんの温もりを身体に焼き付け、彼とまた一緒になれるように努力する活力を蓄えるために、和真くんと居られる限られた時間を大切に過ごした。 和真くんがアメリカに旅立ったのは、8月の半ば、お盆が明けた日。 一緒に東京へ帰省し、和真くんは羽田空港からアメリカに向かった。 和真くんと離れるのが辛かった。 6年以上も、常に隣にいて一緒にいたから、自分の身体がもぎ取られる感じがした。 和真くんが乗った飛行機がアメリカに向かうのを見て、わたしは誓った。 わたし、小説家になって、ヒットを出すよ。 だから、和真くんも夢実現して、そして、わたしを迎えに来て。 別れの涙を拭いて、その日から、わたしは夢実現のために動き始めた。
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