通禁電車

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翌朝も、同じ電車に乗った俺は、もうあの手から逃げられないようにも感じていた。 自分からは離れられずに、逆に待ってしまっているようなところさえあった。 そうして、同じ時間……その手は、伸びてきた。 待ち構えていたように、くねり揺れた腰つきに、 ふぅー……っと、耳元へ熱い吐息が吹きかけられる。 「ひぁ…」 漏れた声に、フッと小さく笑うのが聞こえた。 ズボンのチャックが引き下げられると、昨日までは下着越しだった手が続きだとばかりに前開きの間からするりと中に入り込んできた。 「ん……」 口を押さえてカバンで前を覆うと、 弄る手が激しくもなって、堪らずに腰が再び揺れ出すと、片手でぎゅっと後ろから抱えられた。 「あっ…あぁ…」押さえている手の隙間から、声が漏れ出る。 下着の中で(こす)られ、感じる場所を絶妙に攻めてくる手つきに、あっという間にイかされて、 よろめき立っていられなくもなって、腰が砕けそうにもなると、 「……この続きを、今夜しませんか?」 ちゅっと音を立てて耳に口づけるようにもして、問いかけられた。 「……今夜?」 真っ赤になる耳を押さえて聞き返すと、また手の中に紙が握らされた。 紙を開くと、そこにはラブホらしい名前と、その場所とが書かれていた。 「ここって、」 訊く間もなく手はスッと離れて、背後にぴったりとくっついていた身体も離れて行ったーー。
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