【 自覚 】

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 昨夜は、眠れないのか、少し動いただけで身体を硬くしていたのを感じていた。睡魔の方が勝ってしまって理由は聞けなかったが、あれだけ無視されてたんだから、カイルの傍で寝るのが嫌だったんだろうことは安易に考えついた。  いつもだったら放っておく。勝手に夢を見られても自分は自分だし、以上でも以下でもない。想像や理想と違うからってキレられても勝手に想像して理想像を作り出されてるだけで、アランに非は無い。しかし、カイルの視線は許してくれない。放っておいてはいけない感じがして構いたくなった。  緊張することねぇだろ。セージとかサイネスとかに喋ってるみたいに普通に喋ってよ。  念を込め、挨拶からスタートした。驚いたあと、辛そうに目を眇めながらも、ちゃんと挨拶を返す律儀な奴。学校で子供達に勉強を教えてるときも、分からない問題があり子供と一緒に聞いたらちゃんと教えてくれた。途中、カイルも分からなくなったのか、フェリスを呼んで答えが導き出せるように聞いてくれたりもした。  勉強よりも運動の方が得意みたいだ。勉強を教えているより、子供達と運動してる方が生き生きしてて、アランには向けてくれない笑顔を振り撒き、子供達に混じって泥塗れになっていた。     
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