紅と白の双子月

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 そんな話を同僚の陽咲に話した。 彼女はそういう体験はないらしいが唐突に今まで好きだったものが嫌いになることはあるらしい。  不思議なことだ。  そう、不思議なこと。なのだ。  ゴポリと口から生暖かいものが溢れる。  腹か肺かわからない場所が熱く熱く、焼き付けるような痛みが襲ってきて意識が遠退く。 焼き付けるような熱い痛みを感じるのに、身体は寒さを訴える。 「あかん……アカンよ……」  紅い月は血を見とうなる。  男のとろけるような、熱い吐息のような言葉が聞こえた気がした。
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