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紅と白の双子月
双子特有の共有感覚をご存知だろうか。
離れている双子の片割れが良くも悪くも強く衝撃を受けた情報を共有するものだ。時に映像、時に音声、時に思考など未知に溢れている。
なぜ、このような議題を持ちかけるかだって?
当たり前じゃないか。
君は「双子」特有のものが「クローン」にも存在するかもしれないといったらなぜ僕がこれだけ興奮しているかわかるだろう?
テレビの中から聞こえてくるドラマのマッドサイエンティストが切磋琢磨する同僚に興奮気味に詰め寄るセリフにマグカップが手から落ちた。
「……そういうことか……」
唐突に腑におちた。自分の感覚に、自分のないはずの記憶に。もしもの仮定だとしても、これ以上の解答はないと思えた。
とある日、初めて行った場所に既視感に襲われた。全く知らない、始めてきた場所。メディアの露出も少なく事前に知る機会などないはずなのに、なぜかとてもよく知っている気がした。
そんな感覚が続いていた。
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