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リヒトに人間用のトイレでの用の足し方を教え(彼はその点については物覚えが良かった)、ドアノブの開け方も教えた。彼が大型犬で色々と助かった。チワワなどの小型犬であれば、言葉が分かったにしても、ドアを開けたり人間用便座で用を足すのは一苦労だっただろう。
これでひとまずリヒトの生理的な問題は一つ解決した。
私たちは一緒に自室に戻り、もう一度ベッドに入り直した。
用も足して安心したのか、リヒトはもう一度大きくて盛大なあくび(今度は本物の)をすると、すぐに体を丸めて眠ってしまった。
私はしばらく彼のあどけない寝顔を眺めていたが、今度は自分の生理的現象に悩まされることになってしまい、リヒトの眠るベッドからそっと抜け出した。
階段を下りて一階に向かうと、寝室から聞こえてくる両親の話し声。
何となく気になってしまい、そっと耳をそばだてると……。
まずお母さんの声が聞こえた。
「あの子を引き取ってよかったわね、お父さん。リヒトちゃんが来てから、千穂すごく元気になったじゃない」
――それに応えるのはもちろんお父さんの声。
「……どうだろうな。俺は正直、あの犬が来てから千穂の様子はおかしくなったと思う」
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