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そのまま、地面と顔がくっ付くまでに時間はかからなかった。無様に前のめりに転ぶ自分。それを見て流石に心配になったのか、リヒトが駆け寄ってきた。
「おい、大丈夫か?」
引っ張って悪かったよ、という彼の声。情けない気持ちで顔を上げると、何故かリヒトはぷっと噴き出した。
「なんだ、その頭!?ははっ、毛に葉っぱがたくさんくっ付いてやがる」
落ち葉の絨毯は私を優しく受け止め、オシャレな髪飾りまでプレゼントしてくれた。私のナチュラルなボブの黒髪に増す鮮やかさ。これは、目の前で笑い転げている我が相棒にも味わわせてあげなくては……。
「うわっ!?」リヒトに向かって落ち葉をブワッとぶっかけた。彼のクリーム色の髪や犬耳に、風情ある秋の趣が加わった。
「何すんだ!」
頭中が落ち葉だらけになったリヒトは、少し怒ったように私を睨んだ。だがすぐに悪戯っぽい笑いを浮かべると、急にお尻を向けて地面を手で激しく掘り始めた。そして掘り返された土は、真っ直ぐ私の顔面に。
「ぶわわっ!」
リヒトを止めたくても、掘り返された土はどんどん私の顔に向かって飛んでくる。何故、後ろを向いているのにそんなに正確に当てることが出来るのか不思議だった。もう、私は傍から見れば妖怪泥人形のような有様だったろう。人間を止めた私が諦めたような気持でいると、ふと攻撃がやんだ。
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