さくらんぼを一粒

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「桃子ちゃんさくらんぼ食べる?」 「食べる!」 幼稚園の頃、クラスの男の子の響がさくらんぼを一粒くれたことがあった。 そんなくだらない小さな事で恋してしまった私。 そんな響とはまさかの腐れ縁。 幼稚園から、小学校、中学校そしてなんと高校まで同じになるとは。 あの頃の私は思ってなかっただろう。 そして、私がまだ響に恋をしているともあの頃の私は思ってもいないだろう。 そして、響は立派な女好きに育って、彼女が途絶えたことがない。 なんでそんなダメンズが好きなのかな。 と、自分でツッコミを入れてしまう。 恋は理屈じゃないってやつか。 響私には興味ないからなぁ。 一度でもいいからあの瞳を独占したい。 「桃子。今日一緒に帰れるか?」 「え?うん。でも彼女は?」 「あー。別れたよ。」 「え?もう別れたの?」 「なんか、合わなかった。」 「いい加減1人に絞りなよ。」 「だって俺が好きな人は俺に興味なさげだし?」 「え?好きな人いるの?」 響は顔を赤く染めた。 そんな可愛い顔できたんだ。 「俺が彼女できてもなんとも思ってないみたいだし?」 「告白はしないの?」 「振られる告白はしない。俺、今のところ全勝だよ。」 「だからって好きでもない人と付き合うなんて…」 「うるさいなー。オフクロかよ。もういい。1人で帰る。」 「あ、待ってよ。」 スタスタと歩いて行ってしまった響を私は追いかけなかった。 響に本当に好きな人がいるなんて。 もう私、失恋じゃん
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