さくらんぼを一粒

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私は響の家のインターホンを押した。 「なんだよ。」 「響。さっきはごめん。話したいことがあるの。出てきてくれる?」 「わかった。」 部屋着のまま出てきた響。 「何?」 「ここじゃあなんだから、公園でも行かない?」 「着替えるから玄関で待ってて。」 「うん。」 響の家に入るなんて何年ぶりだろう。 小さい頃は毎日来てたはずなのに。 あ、この置物。確か響がふざけて落としたから端っこが欠けてるんだよね。 ここには私たちの思い出が詰まってる。 やっぱり、響を他の人に渡したくない。 「桃子。お待たせ。って、なんで泣いてんだよ。」 気づけば涙を伝ってた。 響は私の背の高さまで屈んでパーカーの袖で私の涙を拭った。 「…き」 「え?」 「響。好き。」
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