8 Alert action

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野生動物が時折見せる警戒行動だが、未だに不貞腐れてご機嫌斜めなTsukiの機嫌を取ろうと、牛脂が染みた軍手を取り出した瞬間、「ん?」という顔をし、背中の毛を逆立てた。 それもそのはず、その軍手は、Tsukiには見慣れない形をしていた。 今まで渡していた軍手は使い古してクタクタになっており、死んだネズミのようになっていたのだが、牛脂がたっぷり染みた軍手は、冬の夜の冷気によって脱いだ時そのままに白く固まっている。 私の手を離れ、雪の上に置かれたそれは、私の手を形状記憶したもう一つの私の手となり、雪の上に生えているかのように見えた。 不機嫌なTsukiにとっては、さぞかし気持ち悪かったのだろう。 いつまでも不信感を抱き続けているので、その軍手をもう一度手に取り直接渡すと軽く2度甘噛みし、口の中に溶けだした牛脂の味を感じ取ったらしく、満足そうな顔をして持ち帰って行った。 さて、Tsukiは軍手を何に使っているのか?という疑問をいただきましたが、たぶんねぐらに持ち帰り、寝床に敷いたりしていると思われます。 また、特にイヌ科の動物は、記念品として様々なものをコレクションする収集癖もあり、こんなものまで?と驚かされたりします。 そうそう、お目目が真っ黒なのは夜だからで、瞳孔が開いているからです。
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