プロローグ

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 この時点で完全に怪しい不審者なことは明確なはずなのに、お姉ちゃんもほかのバスを待つ人達もほんの少しでもその怪しすぎる男三人に視線を向けるどころか、存在にさえも気づいていない様子。  まるで、謎すぎる黒ずくめの気味の悪い男三人の存在をその場に知り見えているのは私だけみたいだった。    背丈がほぼ同じ高さのお姉ちゃんに肩を重ね合わせるほど密着し、「ねぇ、あの男の人たちおかしくない?」と謎の怪しすぎる男三人に悟られないように耳打ちをしてみたが、姉の反応は意外なものだった。 「何言ってんの?」 「えっ?!」 「そんな怪しい人なんて誰もいないじゃない」 「そんなことないじゃん、列の最後尾に変な男の三人がいるじゃない!」 「どこに?」 「どこって、黒いサングラスをして季節外れな黒いコートを着た男の三人がいるじゃない!」  横眼で最後尾に並ぶ謎の怪しすぎる男性三人に視線を促し、責め立てるように耳打ちしてみたのだが、姉は軽い感じで私達が並ぶ列の最後尾に顔を向けてはくれたが、なんの変わり映えもないものを見たかのような反応でしかなく、愕然とするしかなかった。  それでもこの時、姉を無理矢理引き連れて家に帰っていればこんな事態に晒されることはなかったのかもしれない。だが、そんなこと考えても後の祭り。     
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