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プロローグ
奇跡体験の真っ只中に身を置いてしまった私は信じられないほど冷静でありながら驚愕していた。
けして誤解されては敵わないのだが、奇跡体験というのは歓迎された感動ドキュメンタリーなどではないことだけは最初にはっきりと伝えておきたい。
夏休みを利用して、都会から遠く離れた片田舎に住むお婆ちゃんの家に数日、遊びに行かせていただくためにお姉ちゃんと私はバス停に大きな登山用のリュックサックを背負い、頭にお揃いの麦わら帽子を被るという昭和的なちょっと古めかしい容姿で目当てのバスを待っていた。
他には田舎へ帰るのであろう雰囲気を纏ったお婆ちゃん達と登山客たちが私とお姉ちゃんが立つバス停にいた。
それだけなら不自然でもないのだが、怪しい人物たちがいた。
夏がはじまったばかりの熱くてしかたがない季節なのに全身を分厚い黒いコートを身につけるに怠らず、黒い動物らしき毛皮を肩から全身に覆い隠すという誰がどう見ても異様な容姿をしている男性三人がいた。
眼は黒いサングラスがかけられている為、直視はできなかったが、何処となく異様な眼光を光らせていたような気がしてならなかった。
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