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いつものように僕らは目覚めの挨拶を交わした。
彼女と同居を始めてどれくらい経ったのだろうか? 1年? それとも1週間?
彼女と過ごす日々は濃密で時間という感覚がマヒしてしまい、今日の日付ですら覚えていない。
「今日も天気が良いね」
外も見ずに彼女はそう言った。今日はかろうじて晴れているようだが、彼女にとって天気などあまり関係ないのだろう。
ルーチンワークのように毎日、同じように彼女は話しかけてくるのだ。
『ああ、そうだね』
いつものようにそう返すと彼女はニコリと笑った。天気感覚もなければ季節感もない。昼夜も逆転していて、まさにイリーガルな生活を続けているのだ。
もしかしなくても僕の精神状態は常人とは言い難いのかもしれない。
いや、僕自身はふつうだと思っていても周りの人間にとっては異常なのかもしれない。
僕の彼女のように……。
「ねぇ……●●クン」
彼女はいつものように嗤う。
僕のちっぽけな人生を、はたまた彼女の醜くて美くて歪んだ愛情をあざ笑うかのように。
「今日は誰を殺しましょう?」
そう、僕の彼女は 『異常者』 だ。
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