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Non Title
ネクロフィリア(necrophilia)
死体に性的興奮を感じる異常性欲。死体性愛。屍姦(しかん)症
(デジタル大辞泉より)
薄暗い、薄暗い陰湿な部屋に僕らは住んでいる。
カビが生えた畳。虫が湧いてしまいそうな台所。片づけられない生ゴミからは今にでも黒いアイツが飛び出てしまいそうだ。
家主の精神状態を疑うほどに汚れたこの部屋はいわゆる僕と彼女の愛の巣である。愛の巣であるからにはこの部屋の家主は当然、僕と彼女になるわけだが。。。
この部屋の状況にはきちんと訳があるのだ。だから、決して彼女と僕の精神状態を疑ってほしくない。
と言ってみたところで部屋が汚いことには変わりがない。僕もなんとかしたいと思っているがなかなか綺麗にできないのが現状なのだ。
「ん、あ……」
カビやら何やらの匂いが浸みたおんぼろの布団がモゾモゾと動き始めた。夜の帳が落ち切った時間帯だが、僕らの一日はここから始まる。
「ふぁあ、おはよう。●●クン」
不衛生なゴミ溜めのようなこの部屋に純粋で、綺麗な声が響く。カビと生ゴミの腐ったような匂いに彼女の匂いが紛れ込む。
そう、彼女こそ僕のカノジョである。
『おはよう』
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