誰かの記憶

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誰かの記憶

『---君。良いかい? 君はこれから綾瀬学園に行く。 そこで寮生活を送るんだ。』 おじさんが嫌に優しい笑顔で俺に言う。 寮生活…。って事はもう家には来ない。 つまり俺はお払い箱か。 『こんな事しか出来ないけど、 あともう少し。きっと君が大人になる頃には 玲香(れいか)さんも落ち着くと思うから。』 大人になる頃には俺は遠くに行くよ。 長い間会えないなら愛情は薄れる。 つまり、もう二人とも会うのは これで終わりだ。 おじさんの半分以下の時間を過ごしていても わかる。俺は邪魔だからお払い箱にされる。 それならそれで良い。 もうこの生活にはうんざりだ。 もう振り回されるのはうんざりだ。 ーガシャーンッ! 隣の部屋から いつもの何かが割れた音が聞こえる。 ああ、また暴れてる。 『!!そうゆう訳だから、 君は早く身支度を済ませなさい。 あっちは僕が行くから。良いね?』 焦っているこの人の顔を 見てももう何も感じない。 俺はおじさんににっこりと笑う。 『はい。』 俺の返事はいつもそう。 誰に対してでも。 ああ、消えたい。
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