序章 プロローグ

4/4
2295人が本棚に入れています
本棚に追加
/2716ページ
 第一理科室に着くと教師が待っていた。  台車の荷物を机の上に置き、また第二理科室に戻る。  何故荷物を運ぶのか。  何故か魔法研究部の部員数が年末から二倍に増え、第二理科室にある機材を運び出す必要がでた為だ。  フラスコやビーカー、薬品など割れ物が多い為、慎重に運ぶ。  何度か運んで最後の荷物。  カエルや魚のホルマリン漬け。 「オレは無理。これは嫌だ」  蒼真が拒否する。 「なんだ? 蒼真はカエルが怖いのか?」  千尋は知ってて言う。 「臭い、汚い、気持ち悪いは千尋の担当と決めたじゃないか」 「ぶほっ…… なんでオレがそんなの担当するんだよ! オレだって嫌だ!」 「頼む千尋。オレの一生に一度のお願いだ」 「ダメだ。今まで何度もそれ言われた! よし、じゃあじゃんけんで決めよう」  別に千尋は自分でやってもいいのだがちょっとした意地悪のつもりだ。 「よし、わかった。絶対に勝つ!」  アッサリ乗る蒼真。  魔法陣の中央に立つ二人。  お互いに右手を引いて掛け声を合わせる。 「最初はグー…… じゃん、けん……」  二人は気付いていない。  この時、足元が光輝いている事を。 「ほい!!」  じゃんけんはあいこだったが強烈な光が二人を包み込む。  目を開いていられない程の強烈な光。 「千尋!? なんだこれは!?」 「オレだって知らないよ! 蒼真じゃないのか!?」  そのまま光に飲み込まれる二人。  光が収まった時、円形にくり抜かれた第二理科室の床。  そこに二人の姿はなかった。
/2716ページ

最初のコメントを投稿しよう!