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 寝台がぎしぎしと啼く度に、粘膜が擦れ僕の薄い胸は踊る。 「あ、あぁっ……!」  海猫のように高い声を上げて、爪先が白いシーツを握り締めると、引き締まった腰の筋肉の小刻みな痙攣がまるで己のもののように感じる程内部で感じ取れた。 「ここかい」  荒い息遣いの合間に、男がそっと問い掛ける。 「そこ、もっと────」  強く、抉って下さい。  言葉にしなくても、伝わる欲望。頬を撫でる指先を、唇で愛でてやる。下品な音を奏でるだけで、僕達は簡単に昂まってゆく。僕は痩せた身体に一心不乱に腰を打ち付ける男に身を任せ、白濁してゆく理性を見送った。  彼は美しい男だった。容貌も、精神も、肉体さえも。何より美しかったのは、その指の造形。白く、細く、骨が張った長い指。  鍵盤の上で踊るその指が好きで、僕は何時も彼の指を吸っていた。関節も爪の間も付け根までもくまなく舐めてゆく内、彼の頬に朱がさしてゆく様子が良く見える。彼との前戯は決まってそれだった。あとは酷く退屈な時間が延々と続くだけ。身体の快楽と心の快楽は全くの別物だと教えてくれたのは、僕にピアノを教えようとしていた彼だった。  短絡的な性の主張の端っこで、僕の思考だけは再び現世を離れ浮遊を始める。どうやら今日も、晴れるらしい。
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