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その日は良く晴れた日で、僕は最近では一番気に入っている画家の家を出て、海沿いにひっそりと佇む学校へと向かった。潮風で風化した荒々しい木目の校舎は今にも傾いてしまいそうな粗末な物。一応戦火は逃れ修繕も数年前に行ったのだが、僕は上等な人々との逢瀬に日々身を委ねていたから、どうにも単に古臭いその木造建築が好きにはなれなかった。美しいものは好きだ。だが醜いものは吐き気を催す程に嫌いだった。
その醜い校舎に入り、数の少ない下駄箱を抜けると、廊下は左右に割れている。右に行けば一年生、二年生の教室。左には少し大きな多目的室と、三年生の教室がある。この寂れた港町に存在する高校生などは数える程で、どの学級も同様に与えられた教室はたった一つだった。職員室は別棟になっており、校庭も然程広くはない。
だがこの黴臭い校舎にも、気に入っている所はあった。教室の窓からは海が良く見える所だ。黄色い校庭がまるで砂浜のように錯覚出来る程、平らな地面は真っ直ぐに海へと続いていた。
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