『祝言』

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そう声をあげたのは、ももたろうだ。 「あはは。ももたろうさんも片棒担いでるのか」 雄蔵が楽しそうに竹刀を構える。 「まぁ、雄蔵が大人しくしているは暇だろうという気遣いだと思ってください。手加減無用ですよ」 向き合う二人。ももたろうが一歩下がると雄蔵が一歩進む。 その状況がしばらく続く。お互いに攻めない。 お互いの額には、玉のような汗。 「ここはどうです?お互いに上段を打ち合ってみませんか?お客さんも暇でしょうから」 ももたろうの提案に雄蔵は頷く。 「いいだろう」 お互いに竹刀を頭の上に構える。 一気に飛び込みあってお互いの頭上を狙う。 ぱーんと心地好い音が響く。 「ふむ。今回は負けですね」 雄蔵の方が一瞬早いとももたろうは判断して、竹刀を下げた。 「雄蔵、やはり強い」 「今回は運が良かっただけだよ。ももたろうさんも相変わらず強い」 「勝負あり!」 泰宗の声が響いた。 「では最後は私だ」 周りがざわめく。 雄蔵の目も丸くなる。 「最後は泰宗様かよ……」
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