この涙は君のもの

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 透也が帰ってきたという陽太からのLINEを受けた時、時刻は午後一時を少し過ぎた頃だった。私はいつもより見た目を整えてから行くことにした。  30分後、隣の木崎家のインターホンを鳴らすと、陽太が出てきた。なぜか、顔をムッとさせている。 「すぐに来るかと思った」 「私だって多少のおめかしくらいするし」 「あ、美奈だ! 久しぶり!」  陽太の後ろから透也がひょっこり顔を出した。半年ぶりに見た透也は前より少し痩せたように見えた。 「久しぶり透也。少し痩せた?」 「やっぱりわかる? そうなんだよ、食べてるつもりなのに減っちゃうんだ」  それほど仕事が大変なのかな。しかも一人暮らしだと言うから心配だ。 「昼飯の途中じゃなかったのかよ」 「そうだけど、美奈はちゃんと出迎えたいじゃないか。家族みたいなもんなんだからさ」  家族。そう言ってもらえて嬉しくて、切ない。 「お前は昼飯くった?」 「うん、もう済んでる」 「じゃあとりあえず俺の部屋にあがれ」
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