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リズの部屋をあけるとむせるくらいのあまいにおいがした。 「はなし、終わった? いくの? 人間の結婚式」 「いかないよ。リズとすごすって言ったから」 「うそばっかり」  ベッドにころがると、リズがフレバ―スティックをくわえたままとなりにもぐりこみ、冷たい身体をよせてきた。 「ねえ、どうしてあんたらがアベルなの。殺人の罪をおかしたのはカインでしょ。だったら兵隊になるのはカインじゃないの」 「よく知ってるね」 「あんたが教えてくれたんじゃない。古い人間の神話から名づけられたんだって」 「さあね。意味なんてないんじゃないかな」 「ないの?」  無理やりこじつけるなら、カインは農業していて、アベルは狩猟をしていたから、生産用アンドロイドがカインってことになるのだろうと説明すると、リズは「なんだ、意味あるじゃない」とぼくの首にキスをして「やっぱ物知りなのね」と抱きついた。
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