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機体を自分の意志で動かせないのに、感覚経路がまだ生きているのがうれしい。 すべてが感じ取れる。落ちていく時の重力と風、全方位モニターに映し出される、空の青。地面にたたきつけられるまでに、感覚経路を遮断しないといけない。 ひどくもったいない気がする。 だがしかたがない。 爆破で死ぬのならいいが、仮想の痛みでショック死なんて、ばかげている。 「感覚経路をすべて遮断」 ぼくの言葉に反応して、モニターがブラックアウトした直後、機体は地面にぶつかった。 物理的な衝撃は、有機コクピットが柔らかく吸収してしまうので、まるでふかふかのベッドに飛びこんだような感じになる。
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