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唯一残ったコロニーの唯一のカフェの窓から空を見上げる。 昨日まで晴れ渡っていたというのに、一面の雲で空が低い。たぶん雪がふるんだろうなと思ったらチラチラしてきた。 アキラが隣のテーブルでアキラのカインとしゃべっていた。姿かたちがまったく同じふたりは、鏡でうつしたかのように、同じ仕草でしゃべっている。たぶん、休暇の予定をたてているんだろう。 労働用アンドロイドは双子でうまれる。アベル型は兵役に。カイン型は生産に。同じマスターにつかえる。ぼくはぼくのカインとはもうだいぶ会っていない。 雪の中を白い機体がとびたつのを見た。 「あれは、なに」 となりで甘いにおいがするフレバ―スティックを吸いながら、リズが聞く。リズは白いドレスを着ている。大きくあいた胸元から褐色のつやのあるふくらみがのぞいている。
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