21人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
4
唯一残ったコロニーの唯一のカフェの窓から空を見上げる。
昨日まで晴れ渡っていたというのに、一面の雲で空が低い。たぶん雪がふるんだろうなと思ったらチラチラしてきた。
アキラが隣のテーブルでアキラのカインとしゃべっていた。姿かたちがまったく同じふたりは、鏡でうつしたかのように、同じ仕草でしゃべっている。たぶん、休暇の予定をたてているんだろう。
労働用アンドロイドは双子でうまれる。アベル型は兵役に。カイン型は生産に。同じマスターにつかえる。ぼくはぼくのカインとはもうだいぶ会っていない。
雪の中を白い機体がとびたつのを見た。
「あれは、なに」
となりで甘いにおいがするフレバ―スティックを吸いながら、リズが聞く。リズは白いドレスを着ている。大きくあいた胸元から褐色のつやのあるふくらみがのぞいている。
最初のコメントを投稿しよう!