3.清算

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 あんな見た目なのに、柴犬をアイコンにしてみたり、フリーダイヤルをアカウントに入れてみたり、俺を好きだと言って、時間をかけてよろしくお願いしますと、答えたのだ。  きっと、とても緊張して。  俺のように適当に楽しんでいたのとは違う。  一字一句、考えて、間違わないように、慎重に送信したのだろう。  俺が好きだから。  胸を抑えた。チクチクと、痛む。  ひどいことを言った。  謝らなくては。 ──昼休み、直接話せませんか? 体育館の裏で待ってます  LINEを送ってみた。ブロックされているかもしれないと思ったが、既読がつき、直後に「はい」とだけ返ってきた。  怒っているだろうか。怒っているだろう。そりゃ、誰でも怒る。  俺が勝手に間違えただけで、あっちは騙しているつもりはないのに、詐欺だとか騙されたとか言われて、腹が立たないはずがない。  喧嘩で停学。凶暴。鬼。狂犬。  沢村の言葉が蘇る。  俺は半殺しにされるかもしれない。  だから、待ち合わせ場所の体育館の裏で、柴崎を土下座で出迎えた。 「大変っ、申し訳ありませんでしたぁっ! あのっ、実は、……二組の柴崎琴音さんと、四組の柴崎さんを……、思い違い……してて」  無言だ。恐る恐る顔を上げた。鬼の形相を予想していたが、違った。  柴崎は、わかりやすく困った顔をしていた。肩透かしを食らった気分だ。 「お、怒ってます、よね?」     
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