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俺とLINEをしたいとのたまった。
いいだろう。してやろうじゃないか。
スキップで帰宅し、制服のままでベッドに寝転ぶと、ポケットから紙切れを取り出した。ノートの切れ端だ。四つに折りたたまれたそれを開くと、頼りない筆圧の震えた文字で「sivainu0120」と書かれていた。
「しば、いぬ? 柴犬好きなの? え、何、可愛くない?」
顔がにやけた。IDだけですでに可愛い。
LINEを起動してID検索をすると、柴犬のアイコンの「柴」というアカウントが出てきた。間違いない。柴崎だ。震える手で、追加の文字をタップする。向こうに、俺が追加した通知が届いているだろうか。
トーク画面を開く。
こういうときは、俺から声をかけるべきだろうか。そりゃそうだ。善は急げ。
──こんにちは
送信すると、すぐに既読がついた。うわー、と声を上げ、ベッドの上で仰向けになり、脚をばたつかせた。柴崎が、俺のこんにちはを読んだ。それだけでハッピーな気持ちになる。
「え、どうしよ、あ、名乗らないと」
──さっき沢村からメモ預かって。三組の綾瀬です
送信。
既読はつく。それなのに、返事がない。
本当にこれは柴崎だろうかという焦りが芽生えた。
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