1.柴崎琴音

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 何か欲しいものある? とか、一緒に何か買いに行こう、とかを送ろうとして、思いとどまった。  それより先に、確認しておかなければならないことがある。 ──柴崎さんは、どうして俺とLINEしたいと思ったの?  半分はわかり切った質問だ。俺のことが、好きだから。それ以外に何がある?  自惚れじゃない。だって、好きでもない奴とLINEをしたがる理由がない。  返事が途切れた。既読のまま、時間が経っていく。離脱したのか、そこにいるのか。確認するために、もう一度送信した。 ──俺が好き?  送信。  既読がつく。  やおら、顔が熱くなってきた。これで違います、と返ってきたら完全な勘違い男じゃないか。しまった。取り消したい。でも、確信がある。  柴崎琴音は、俺が好きだ。 ──はい。好きです 「ほら! ねっ!?」  ベッドの上に立ち上がり、ドヤ顔を作り、一人で「すげえ」を繰り返した。  興奮しながら画面を叩くように次の科白を入力する。 ──じゃあ、付き合っちゃう?  軽薄な文字をすぐに後悔した。こういうのは面と向かって言うものじゃないのか? きっと柴崎もガッカリしている。既読のまま、また返事がない。  見損なった?  冷めてしまった?  嫌われた?  悶々としていると、音が鳴り、画面が明るくなった。 ──よろしくお願いします
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