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何か欲しいものある? とか、一緒に何か買いに行こう、とかを送ろうとして、思いとどまった。
それより先に、確認しておかなければならないことがある。
──柴崎さんは、どうして俺とLINEしたいと思ったの?
半分はわかり切った質問だ。俺のことが、好きだから。それ以外に何がある?
自惚れじゃない。だって、好きでもない奴とLINEをしたがる理由がない。
返事が途切れた。既読のまま、時間が経っていく。離脱したのか、そこにいるのか。確認するために、もう一度送信した。
──俺が好き?
送信。
既読がつく。
やおら、顔が熱くなってきた。これで違います、と返ってきたら完全な勘違い男じゃないか。しまった。取り消したい。でも、確信がある。
柴崎琴音は、俺が好きだ。
──はい。好きです
「ほら! ねっ!?」
ベッドの上に立ち上がり、ドヤ顔を作り、一人で「すげえ」を繰り返した。
興奮しながら画面を叩くように次の科白を入力する。
──じゃあ、付き合っちゃう?
軽薄な文字をすぐに後悔した。こういうのは面と向かって言うものじゃないのか? きっと柴崎もガッカリしている。既読のまま、また返事がない。
見損なった?
冷めてしまった?
嫌われた?
悶々としていると、音が鳴り、画面が明るくなった。
──よろしくお願いします
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