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昇降口でぼんやりとロッカーの中を見ていた美鈴を見かけた。
泣き出しそうな悲しいようなそんな眼をした美鈴にひょいとロッカーの中を覗き込む。
その中にはペットボトルや菓子の空き箱、ゴミが詰まっていた。
「なっ!?」
「佑先輩……見られちゃいましたね」
「美鈴、…これは?」
ロッカーにゴミ箱をひっくり返したようなひどい有り様だった。
「嫌がらせぐらい平気です。いつものことなので……ホントに平気ですから」
ゴミを素手でつかんでカバンにあったビニール袋に掻き出した。
その手は震えてて美鈴の横顔から見えた目の縁は赤かった。
デブでメガネザル、冴えない女はいじめの対象だったんだろう。
それが痩せてキレイになって男たちが騒ぎ出したんだ。女子の嫉妬はさらにひどくなっていったんだろう。
知らなかった。
気づかなかった、わかることだったのにそれさえ気づいてやれなかった。
「……そんな表情するな」
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