親友の想い人~セカンド~

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「佑、先輩……ありがとう」 まだ震えが残る指で涙を拭って、赤くなった目を上げて笑った。 「わたし、みんなのこと怖がってばかりだった。みんながみんな無視したりいじめたりする人たちばかりじゃないのに、話掛けられても顔も上げられなかった。だけど、佑先輩に会ってそれじゃダメなんだったって気づいて、少しだけどわたしからも話せるようになったの。わたしが変われたのは佑先輩の優しさに触れたから……だから」 目尻に浮かんだ透明な滴はキレイだった。 「わたし、佑先輩が大好きです」 それは極上の笑顔だった。 人は少しのきっかけがあれば強く優しくなれる。 屋上で泣いていた美鈴はもういない。 ちゃんと顔を上げて前を向いてる。 「佑先輩、ありがとう」 美鈴のどこに人を許してすべてを受け入れるほどの強さがあったんだろう。 素直さと思いやり溢れる美鈴が眩しかった。 美鈴を見ていると心が温かくなっていく。 「…美鈴」 そっと抱き寄せたその体もとても温かかった━━━
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