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あの一件があってから、屋上で美鈴が嬉しそうに友達の話をするようになった。
今まで気づかなかったが沙良と仲が良いようでそれはそれでなんとなく安心できた。
友達が出来て美鈴が明るくなっていくのは単純に嬉しかった。
そんなある日。
美鈴が好きな男が昇降口で美鈴に告白をしたのを見かけた。
朝の混み合う時間、みんなの注目を集める中での告白だった。
「………え!?」
「ちょと前から可愛くなったなって思って見てたんだ。今になって君をフッたこと後悔して。……もしもまだ間に合うなら僕と付き合ってほしいんだ」
爽やかな王子みたいな笑顔を浮かべる男は自信に溢れてて美鈴が断ることなど思ってもいない。
じゃなきゃみんなの目の前で告白だなんてしない。
ズキッ
不意に心臓が痛くなった。
あの男を振り向かせるために努力に努力を重ねて可愛くなったんだ。その努力が実る時だった。
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