110人が本棚に入れています
本棚に追加
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━
誰も来ない裏庭で転がって寝ていると顔にフッと影が差した。
目を開けると、そこにはポケットに手を突っ込んだ狼が立っていた。
「……これで良かったんだろ?佑」
「ああ、」
屋上へはもう行くことはない。
芝生に転がったままでいると狼がそばに腰を下ろした。
日差しが暖かい。
サボるにはちょうどよかった。
そこで偶然通りすぎた男子の話しが、美鈴の好きだった男のことだと気づいた。
「あいつさ、女に飽きればとっかえひっかえして、今度のターゲットは最近注目を集めてた柘植美鈴だってよ」
美鈴…?
美鈴の名前に声がした方に顔を向けた。
「さっきみんなの前で告白したのは相手に断らせないようにするための手段なんだとよ。モノにして飽きたらお下がりだけどやるってさ」
「あいつ、悪いヤツだよなあ。ま、俺はあいつのお下がりでもいいけど」
笑い声がして足音が遠ざかる。
最初のコメントを投稿しよう!