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気づかなかったふりをして、沙良を籠の中に閉じ込め、バカ狼には釘を刺した。
沙良は俺のものなんだ、と。
「佑ちゃん」
沙良はちゃんづけで俺を呼ぶ。
沙良にとっては俺はいつまでも兄のような存在で。
だから。
俺はひとりの男で、言い寄る女はたくさんいるんだと沙良に見せつけた。
沙良はショックを受けてひとりの男として俺を意識をしたのだったが、
結果は―――
見ての通り、籠の中の鳥は全校生徒が憧れる俺よりも、ケンカばかりで他校の不良からも恐れられてたバカ狼を選んだ。
沙良の泣き顔に甘い俺は、最後にはバカ狼に沙良の幸せを託してしまった。
これでよかったんだ。
そう納得はしても、沙良の「佑ちゃん」と呼ぶ顔を見るとやっぱり俺のものだと思ってしまう。
「沙良、今日体操着持ってきたか?1年生は午後からマラソンあるぞ。」
「えっ!」
「その顔じゃ忘れてたな?俺の体操着貸してやるから、ほら」
「わあ、ありがとう!」
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