現実

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 「ピピ」 私は、目覚ましが大きな音で主張する前に、腕を振り上げ手の平で止めた。 自分のテリトリーに、不釣り合いな薄茶色のドアに手をかける。 今にもギィィと、耳障りな音をたてて違う空気の匂いを、私の鼻の前で弾く。 家族の本当の意味を知らずに、聞こえてくる言葉は自分のとは違い、聞きなれない壊れた言語。 三大欲の欠けた欠片の星屑が私の頭に舞う夢でもいい。 観てみたい。 あたたかいsoupをふわふわのbedとドキドキのふれあいを ーーーーーーー      ーーーーーーー       ーーーーーー 自分自身の部屋から階段の長い道のりに、心がいくどとなく足底からすり抜けていった。 あたたかな匂いの円卓につく、私以外の家族をガラス越しにぼやけなから、視界の隅に腰掛けるしか震える指の置き方を知らなかった。 後ろ姿が守る事を忘れた足音が・・・ 震える髪など1本も摘んだ事すらない、知らない小さな小指。
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