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「まさか君は、僕が復讐をしに来たとでも思ってる?」
「ありえない話ではないでしょう。十一年前にあなたを殺した…いや、殺そうとしたのは僕だからね」
「そう。君は僕を殺そうとした。けれど僕はこうして生きてる。何故だか知りたいかい?」
揶揄うように頬を撫でる大きな手を、フレデリックは振り払った。
「僕は確かにあなたを撃った。けれど、確認はしなかった。それだけのことでしょう」
「そう。だから君はこうして今、僕に怯えている。情けないとは思わないかい?」
「未熟だった僕の過ちだよ。それに、過ちは正せばいい」
フレデリックが何気ない動きで抜き出した銃をロイクに突き付ければ、一瞬にして二人を取り巻く空気が張り詰める。
やれやれと言わんばかりの顔で、ロイクが銃身を掴んだ。あっという間に、銃口の向きが変わる。
「綺麗な顔をしてすることが野蛮なのは変わらないね」
「あなたに言われたくないね」
フレデリックはもう片方の手で銃口を突き付ける。が、それもあっさりといなされた。
「まったく、あなたほど敵に回したくない男はいない」
「なのに君はこうして僕に抗おうとする。少しは大人しくしたらどうだい?」
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