マフィアは望んで欲に溺れる。

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 揶揄うような台詞に、フレデリックは閉じていた目蓋をあげる。すぐそこにあるロイクの瞳をまっすぐ見つめた。 「そんなものをするくらいなら死んだ方がマシだね」  心の底から本心を吐き出せば、鉄の塊に頤をくいと持ち上げられる。 「僕にこの綺麗な顔を吹き飛ばさせる気かい?」 「望みとあれば、そうすればいい」  再びフレデリックが目を閉じようとした瞬間、ドアをノックする音が室内に響く。あっさりと銃口を下げてロイクが呟いた。 「クリスか…」  ドアを開けるまでもなく来訪者を特定したロイクは、手に持った銃を二丁ともフレデリックの服の中へと戻した。 「ロイ…」 「言い忘れていたけれど、僕は十一年前の復讐をしに来た訳じゃない」  そう言い残してすたすたと部屋を横切ったロイクに、フレデリックは何も言い返すことができなかった。  ロイクがドアを開ければ、その奥の通路に幾分か距離をとってクリストファーが立っている。クリストファーもまた、室内にフレデリック以外の気配を察していたのだろう。 「やあクリス。久し振り」 「ロイ! 本当に久し振りだな。十年もどこへ行ってたんだ?」 「それよりも、君が元気そうで何よりだよ。僕が最後に見た君は……」 「ああ、そう言えばそうだな。おかげさまで、今はこの通りさ」     
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