そして誰もいなくなった 

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 東武市立図書館にやって来た私はアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を読んでいた。  イギリス、デヴォン州の兵隊島に、年齢も職業も異なる8人の男女が招かれた。2人の召使が出迎えたが、招待状の差出人でこの島の主でもあるオーエン夫妻は、姿を現さないままだった。やがてその招待状は虚偽のものであることがわかった。不安に包まれた晩餐のさなか、彼らの過去の罪を告発する謎の声が響き渡った。告発された罪は事故とも事件ともつかないものだった。その声は蓄音機からのものとすぐに知れるのだが、その直後に生意気な青年が毒薬により死亡する。 さらに翌朝には召使の女性が死んでしまう。残された者は、それが童謡「10人のインディアン」を連想させる死に方であること、また10個あったインディアン人形が8個に減っていることに気づく。その上、迎えの船が来なくなったため、残された8人は島から出ることができなくなり、完全な孤立状態となってしまう。 さらに老将軍の撲殺された死体が発見され、人形もまた1つ減っているのを確認するに至り、皆はこれは自分たちを殺すための招待であり、犯人は島に残された7人の中の誰かなのだ、と確信する。 誰が犯人かわからない疑心暗鬼の中で、召使・老婦人・元判事・医師が死体となり、人形も減っていく。そして、残された3人のうち2人が死に、最後の1人も犯人がわからないまま精神的に追いつめられて自殺、そして誰もいなくなった。  後日、救難信号に気がついたボーイスカウトから連絡を受けた救助隊が、島で10人の死体を発見し、事件の発生が明らかとなる。事件を担当するロンドン警視庁は、被害者達が残した日記やメモ、そして死体の状況などから(それは読者が知りえたのと同じくらいに)、事件の経緯、大まかな流れをつかむ。そして、当時の島の状況から、犯人が10人の中にいると考えると矛盾が生じるため「11人目がいた」と推理するが、それが何者で島のどこに潜んでいてどこに消えてしまったのかまではわからない。  しかし、ある漁師が「ボトルに入った手紙」を見つけることですべての謎が解明する。  ボトルの中の手紙は真犯人による告白文であった。真犯人は被害者の1人と思われた招待客の1人、ローレンス・ウォーグレイヴ判事であり、事件で不明だった犯行方法・犯行動機などすべての謎に対する真相をボトルの中の手紙に記していた。  
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