派遣アサシンからの挑戦状

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派遣アサシンからの挑戦状

 東武警察署の獄門刑事課長は、栃木県警本部長の竜雅樹と事件現場に来ていた。他の刑事たちは聞き込み、デスクワークに勤しんでいる。  ガイシャは熊の末裔、連城篤史だ。熊ってのは名前、姓は連城だ。熊は穂北兄弟に復讐を果たした。村長は熊の境遇に同情し、お咎めなしにした。  二階堂亜樹、斑鳩綾子、田端明夫、海原愛佳、山浦飛鳥、間中麻美、能勢歩、鯔拓海……これで9人目だ。  最近、捜査官が相次いで殺害された。  死体のそばには紙切れが落ちていた。  9つのマスが書かれてある。 「何でしょうね?」と、獄門が紙切れを拾った。獄門の階級は警視、竜は警視監だ。年齢は同じ37歳だが、タメ口なんてた叩けない。 「さぁ?私にもよく分かりません」  竜は妙に低姿勢だ。  獄門が紙切れを裏返しにした。  問題が書かれてあった。  《9人を殺したのは僕です。実は9人にはある共通点があります、それを刑事さんたちに解いてもらいたいのです。そうしないと、死ぬのは獄門さん、それから竜さん2人のどれかです。制限時間は3日後の午後8時、この場所でお待ちしています。必ず2人で来てください。約束を破ったり、解答が違っていた場合も死んでもらいます。死ぬ気で解いてください?      派遣アサシン》   「いったい僕たちが何をしたって言うんだ?」  竜はコワモテの獄門が『僕』なんて使うからおかしく思った。 「ええ、まだまだやりたいことがたくさんあります」  竜は言った。 「例えば?」 「海外旅行とか」  獄門が紙切れをスラックスのポケットにしまった。 「3日後って言うと3月11日です」  竜が言った。 「地震は怖かったですよね?」  獄門はその頃、公安に所属していてある工場に潜入した。ヒドい縦揺れで、船酔いみたいな感覚を覚えた。事件現場は東武駅にほど近い、アパート『アガット』の204号室。アガットは瑪瑙のような深い赤茶色を意味する。  竜は連城篤史の遺体をよく観察した。  室内にはクーラーボックス1つ、大型の収納箱1つがあり、バラバラに解体された遺体が入っており、一部は腐乱していた。  首、左腕、右腕、上半身が収納ボックス、下半身は4つに切断されクーラーボックスに入れられてあった。  遺体には証拠隠滅のためにネコのトイレ用の砂が被せられていた。  司法解剖の結果、箱から連城は死後1 - 2週間経過しており、首を絞められたような跡があった。
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