Case.1 特殊作戦群A分遣隊

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 ほかの全員とおなじく、バーバラも灰色の戦闘服<グランコレット>を着用し、さらに白色のチタン製外骨格を着用している。特殊作戦群d分遣隊用の黒いヘッドマウントディスプレイの下できれいに整えた眉を懐疑的に曲げている。新しい指揮官となるオラクル陸軍士官、ルツ・スレイダー少尉について警戒すべきことを色々きかされているからだろう。  かまわない。知識は役に立つ。 「民間軍事会社がそうやって戦争を起こすと思う?」  俺が質問すると、バーバラは経験豊富な士官らしい穏当な返答をした。 「私の立場では知りえない話です」 「それでも考えてみて損はない。きっとこうだ。俺たちにとって愛想なかばする民間軍事会社の有力どころたちが集まって会議をする。物理的にではなく、バーチャルな会議だ。最初は冷たい雰囲気で始まる。民間軍事企業というのはそういうyものだからな。しかしここで一社が啖呵を切る。 ”とにかく次の戦争を始める必要がある、志願を募りたい”」 「はいはーい、志願します!」  ジーナ・トレーガ―特技兵が満面の笑顔で言った。同時に規則に則った戦術マップとHUDの視界情報の共有作業をはじめた。 「まじめな話なんだ、トレーガ―」 「失礼しましたー少尉」 HUDと戦術マップの情報が統合され、視界上の建物に立体的なホログラムを被せるとまるで透視したように内部の構造が映し出されたことを確認する。それから話を続けた。 「”志願”だ。ここは笑いどころだな。民間軍事会社は自分が与する国では戦争をできない。第一のルール、納税者を殺すな、というわけで戦争は他所でやる」     
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