0人が本棚に入れています
本棚に追加
闇のふところに 手を差し伸べると
だれか 冷たい人の影が
黒い渦の隙間から 見えた
ダレ?
訊いたが 返事はない
ダレ?
わたし声と こだまする わたしの声が
さらに こだまする
世間体ばかりを気にして 努めて冷静に
ダレ?
返ってこない なにひとつ
わたしは 一体だれに 話しかけているのか
だん だん だん だん
苛立ちが 囲っていく
だん だん だん だん
叫びたくなっていく
ダレ?
ダ レ?
こ た え て ーー ! !
そしたら 急にだれかが わたしの
腕をつかんで
クスクス 嘲笑うように
闇の中から ソレが 現れて
耳元で 囁いた
『 わたし は あんた だよ 』
あ あ
なんだ そうか
おまえは
わたしだったね
この
臆病者
最初のコメントを投稿しよう!