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 闇のふところに 手を差し伸べると  だれか 冷たい人の影が  黒い渦の隙間から 見えた  ダレ?  訊いたが 返事はない  ダレ?  わたし声と こだまする わたしの声が  さらに こだまする  世間体ばかりを気にして 努めて冷静に  ダレ?  返ってこない なにひとつ  わたしは 一体だれに 話しかけているのか  だん だん だん だん  苛立ちが 囲っていく  だん だん だん だん  叫びたくなっていく  ダレ?  ダ レ?  こ た  え   て  ーー  ! !  そしたら 急にだれかが わたしの  腕をつかんで  クスクス 嘲笑うように  闇の中から ソレが 現れて  耳元で 囁いた 『 わたし は あんた だよ 』  あ あ  なんだ そうか  おまえは  わたしだったね  この  臆病者
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