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「いきなり声かけられて、ビックリしてひっくり返ってるんだけど……何か言うことはないの?」
「悪い、驚かすつもりはなかったんだ……大丈夫か?」
「何とか……てか、なんで拓也君がいるの?」
手を借りて身体を起こして、軽く制服についた汚れをはたき落とす。
「近くで卒業パーティしてて、それが終わったから……最後にもう一回くらい見ておこうかなーって思って」
「ふーん……」
「佐河達も参加すれば良かったのに」
「私とまおちんは……別日にするからいいの。思い出作り」
「なんだそれ」
おかしそうに笑って、私の方を見る。
(だって、クラスメイト全員と仲良かった訳じゃないし、拓也君みたいに皆とワイワイすることは出来ないなー)
一年生の時は、皆知らないから仲良くしないと、って難しく考えてたけど、ある時をきっかけに吹っ切れた。それもまおちんと友達になった御蔭かも。
「それ、俺も参加出来るの?」
「……何に?」
「佐河達との卒業パーティ」
「え……」
来るの? って言いそうになって、どうにか飲み込んだ。彼は私の反応を見て、軽く吹き出す。そのまま教壇まで移動し、手前の席――机の上に座る。そこは卒業式直前まで拓也君の席だった。後ろを振り返り、私の顔をジッと見る。
「ここからだと佐河の席、丸見えだな」
「何、その言い方。エッロ」
「はあ!? そういう意味で言ったんじゃねーよ」
「そういう意味ってどういう意味なのさ?」
何を言っても反論されるとわかったのか、彼は唇を噛み締めた。そんな様子が可愛くて、私は思わず吹き出す。
「何だよ、仕返しか?」
「まあね」
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