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短いまつ毛を伏せ、従順に指の股を舐めていく男の、肉の薄いこめかみが赤く脈打っていた。
ライトブラウンの長めの髪が、その赤みを隠すよう、するりと頬へ落ちてくる。
「……きみに塗りたくろうと思ってたんだけど、どうするか」
白い肌はそのままで美味そうで、どうせなら擦り上げ、真っ赤に膨れていく様を視ていたいような気もする。
「勘弁してください。そんなに舐められるもんじゃないです」
「まあね」
「それに、――――」
新堺の手の甲をマジマジと眺め、短いまつ毛が瞬いた。
涼し気な眉がスウと寄り、邪魔な髪を耳にかけて押さえ、何事もなかったように瞼を伏せ、舌で汚れを舐め始める。
「おい。それに、なんだよ」
「……どんどん垂れますね」
「なに考えた?」
言えって。
からかいの笑い声が浴室に揺れた。
シレッと誤魔化す男の、髪の間に覗く耳が、じわりじわりと朱色に上気していく。
相変わらず、嘘を付けない嘘つき男だ。
眺めるだけに飽いた指で、たっぷりとチョコレートを絡め取り、奉仕の口元を汚してやる。
「――勘弁してください、新堺さん」
甘すぎます。
手首を掴んで逃げた顔を、躊躇なく追いかけた。
鏡の前に追い詰めた、裸の肩は骨太で、自分を上回る逞しさだが気にもならない。
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