『バレンタインも過ぎた日に ~ White day ~』 ※R15

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 短いまつ毛を伏せ、従順に指の股を舐めていく男の、肉の薄いこめかみが赤く脈打っていた。  ライトブラウンの長めの髪が、その赤みを隠すよう、するりと頬へ落ちてくる。 「……きみに塗りたくろうと思ってたんだけど、どうするか」  白い肌はそのままで美味そうで、どうせなら擦り上げ、真っ赤に膨れていく様を視ていたいような気もする。 「勘弁してください。そんなに舐められるもんじゃないです」 「まあね」 「それに、――――」  新堺の手の甲をマジマジと眺め、短いまつ毛が瞬いた。  涼し気な眉がスウと寄り、邪魔な髪を耳にかけて押さえ、何事もなかったように瞼を伏せ、舌で汚れを舐め始める。 「おい。それに、なんだよ」 「……どんどん垂れますね」 「なに考えた?」  言えって。  からかいの笑い声が浴室に揺れた。  シレッと誤魔化す男の、髪の間に覗く耳が、じわりじわりと朱色に上気していく。  相変わらず、嘘を付けない嘘つき男だ。  眺めるだけに飽いた指で、たっぷりとチョコレートを絡め取り、奉仕の口元を汚してやる。 「――勘弁してください、新堺さん」  甘すぎます。  手首を掴んで逃げた顔を、躊躇なく追いかけた。  鏡の前に追い詰めた、裸の肩は骨太で、自分を上回る逞しさだが気にもならない。     
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